[狼と香辛料 side colors]

というわけで、7巻とは名ばかりの、外伝的短編集。
285P, 1hour 30min.
最近の長編よりも遙かにおもしろかった。というのが初っ端の感想。
3つの短編はそれぞれ

・「少年と少女と白い花」
ホロの過去の旅。というか、少年と少女が不慣れな旅してるところへ茶々をいれる話。
商売気はないけど、12歳くらいの少年と14歳くらいの世間知らずの少女という組み合わせというのは、懐かしきお約束?
その旅路の描写は、特に場面ごとに変わっていく手をつなぐ描写はICOを彷彿とさせて読んでいて楽しい。
そして少年の、少年らしい心理描写ととことんその視点からのみ状況を描写する安定感はとても読みやすい。
明らかにこのままもう一作品書けるだけの伏線や展開を孕んだまま、ひとまず終了。
関係がはっきりしちゃって無理矢理な展開気味の狼と香辛料本編を続けるよりも、こういうのを一から始めてほしいなぁ。

・リンゴの赤、空の青
というか、リンゴの話。ちょっと商売の話。
1巻でホロが買い占めた馬鹿な数のリンゴの話と、ホロの町娘服を買う話。
本編に載せると無駄にページを割いてしまうけど、この軽妙なやりとりは狼と香辛料らしくまたおもしろし。

・狼と琥珀色の憂鬱
こちらは2巻の終了後のお話。
初のホロ視点ということだけど、6巻も続いた本編では結構ホロが心情を吐露するので特に違和感もなく。
2巻の後、祝勝会中に倒れたホロとそれを看病するロレンスの話。
全編通して視点の使い方がうまい。きっちりとした一人称と意外にばらばらに行動する登場人物たちのおかげで、文章の外で動き回る彼らがなにをしているのか?と視点の人物と同じように考えることが出来る。
内容は、賢狼ホロと羊飼いノーラの羊を巡る対決再びというか、和解?
最後の二人のやりとりから逆算してできたお話なのではないか?という感じがするよいオチ。
糖蜜菓子レベルの甘さ。

というか、内容、別に色関係ないなぁ。テーマになってないし。せいぜい題名?