よしなしごと

無事読了。
"文学少女"と神に挑む作家(ロマンシエ)

ライトノベル
ミステリーの体裁で
最後はドラマよろしくきれいに纏め上げたと思う。

神に挑む作家(上)(下)は、
天野遠子とはいったいどういう人間なのか?
井上心葉は作家になりたいのか?
という問いに対する答えが自身を含めた様々な人間によってバラバラに語られていく。

そして、主人公心葉が自身のこれからを決意して踏み出していく。

最後にもぴりりとする、一味が加えられていたけれど。


登場人物は、ステレオタイプというかくどいともいえるキャラ付けだと思う。

彼らは、自分たちの手の届かない想い人――死んでしまったり、遠くに行ってしまったり、あるいはただ話ができなかったり――に対して、各々が自分なりに解釈して理解しようとする。

それは、本人にとっては身勝手なことが多いけど、その人の真実の一面でもある。

常にキャラクターや過去の事件に対して、そういう各人の様々な意見を付き合わせることで、登場人物に多様性と深みを感じさせる。
そして、どんなに想いを巡らせても、結局他人を特に死んでしまった人を理解することはできないのだということは、シリーズを通して言われつづける。


と思う。


ヒロインの天野遠子は、本を食べてしまうほど愛する文学少女
だけれど、井上心葉がそうだと思っている天野遠子と櫻井流人が語る天野遠子はあまりにかけ離れている。
琴吹ななせの知る天野遠子もまた少し異なる。
主人公の井上心葉もそう。
自身の思う自分と、天野遠子の言う心葉は違う。
流人の評価もななせが想いを寄せる心葉も違う。

毎巻毎巻で中心となる人物は、語る人間によって表情が変わる。
最初の巻では、あまりのギャップにえっと思うところも多かったが、
後半慟哭の巡礼者(パルミエーレ)になってくると、
それまでの積み重ねもあって登場人物たちの多面性に深みを感じることができた。

とべた褒めですよ。
読み終り後の完全余韻モードですから。
あぁ〜〜〜〜〜
研究室の人とはまったくこういうことを語り合えないのは、渇く。


何はともあれ、ご馳走様でした。